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拘縮による関節可動域運動(ROM)について
●拘縮による関節可動域運動(ROM)について

拘縮とは各関節が他動的にも自動的にも可動域制限を起こす状態である。
一般的に関節包と関節包外の関節構成体である軟部組織の変化によって起こる関節運動制限を拘縮と呼んでいる。


【拘縮の評価】
拘縮を起こしている組織・病態を正確に把握する。(自動・他動運動や健側との比較)
問診(いつから?固定期間? どのような動作が不自由か?どんなときに痛むか? など)、視診・触診(動作観察、代償運動はないか? 緊張はないか? 腫れや熱感や圧痛はないか? など)を正確に行う。
また、実際に関節を動かして可動域をみることが必要である。

【ストレッチについて】
*目的
可動域を大きくし柔軟性を高める。
筋肉への効果的な刺激と緊張緩和・筋萎縮の抑制・代謝の向上・筋痛の緩和など。

*種類
動的ストレッチ:反動をつけずに目的の筋肉の伸張と収縮を繰り返す。関節周囲筋の動きを潤滑にして滑液の分泌を促す。ウォーミングアップに適している。
静的ストレッチ:目的の筋肉をゆっくり伸ばして適度に伸ばしたところでその姿勢を20〜30秒間に保持する。疲労回復に適している。(一過性に血流をとめ、緩ました時に血流をあげる作用)

*体幹側からの可動を目指す(例 肩甲骨→肩→肘→手首→手指)
→神経は中枢から末梢へ伝達される為。

*伸ばす筋肉を意識し、関節をまたがずに次の関節は保持し、筋のみにストレッチがかかるように意識する。(起始から停止を伸ばすのがストレッチ、起始に停止が近づいてくるのが筋収縮)

《留意点》
*息を止めない
*弾みをつけない
*過剰な力を加えない(筋力低下した筋への持続的伸張は、過度の弛緩を招く危険がある)
*関節部の痛む時は中止する
*翌日に疲労・疼痛を残さない
*過剰押圧による局所痛、炎症部位への施術を避ける


注意すべき脱臼の例
例@人工股関節置換術後における脱臼
・股関節の深さ?
正常股関節のかみ合わせの深さ=約20mm〜25mm
人工股関節のかみ合わせの深さ=約11mm〜16mm

・脱臼はなぜ起こる?
互いにこすれる際の摩擦を少なくさせる目的で浅くする。

・脱臼しやすい関節位置は?
後方脱臼→屈曲→内転→内旋(しゃがんで股を閉じる姿勢or座位で靴下を履く動作など)
前方脱臼→外旋→伸展→内転でさらに憎悪(つま先を外に向けて足を後ろに伸ばした姿勢)

・注意する期間は?
術後3ヶ月以内が最も危険。3ヶ月以上たつと人工関節に瘢痕組織が出来、脱臼しにくくなるが、かみ合わせが浅い為注意は必要。周囲筋力強化により強さが左右される。

例A 肩関節における脱臼
・脱臼しやすい関節位置は?
脱臼方向:95%以上が前方脱臼。特に烏口突起下へ外れる脱臼が多い。
肩外転→伸展→外旋(骨頭が前方または前下方に押し出される動き)
※拘縮は肩内転→内旋なのでROM運動の際は肩関節保持が絶対!


高齢者の中には関節可動域が非常に狭く、軽い関節運動や不意の加重により脱臼してしまうケースが多々あります。
ROM運動を行う際、リスク、注意する点またリスクを減らす施術例を以下に記載します。

《実技》
*肩関節@
リスク:肩関節の損傷・脱臼・周囲の筋の損傷
注意点:痛み・抵抗の少ない可動域範囲で行う事
施術例
@肩峰部を押さえる。
A患者の肘を屈曲させ、肘頭を包むように持つ。
B「A」を主動にしてROM訓練を行う。
「@」の部分で関節音などを確認しながら行う。

*肩関節A
リスク:回旋腱板の損傷、肩関節の脱臼
注意点:抵抗の無い可動域内で行う
施術例
@肩峰部を包むように押さえる。
A患者に肘を屈曲させ、腕相撲のような形で手を握る。
B内・外転を行う(外転時に注意)。

*肘関節
リスク:肘関節周囲の損傷、肩関節の損傷・脱臼
注意点:上腕部の角度が変わらないように気を配る。肘関節が体幹に近い方が肩関節脱臼のリスクが少ない。
施術例
@上腕骨遠位付近を持つ。この時、母指は上腕二頭筋腱に触れるようにする。
A腕相撲のような形で手を握る。
B屈曲・伸展を行う(屈曲から行う事)。

*手関節
施術例
@前腕を保持し、もう一方の手で手のひらを掴む(指は自由に動く状態にしておく)。
A指は自由に伸ばせる状態にして手首を下に曲げる。次に手首を上に曲げる。

*手指
施術例
@前腕を支え、手首を下に曲げた状態で固定を保ちながら、もう一方の手で指先を下から持ち上げる。

*股関節@(内転硬縮優位時)
リスク:大腿骨頭周囲の損傷
注意点:過外転に注意する
施術例
@大転子部を押さえる。
A膝内の内側に手を当てゆっくり外転を行う。

*股関節A(屈曲・伸展)
リスク:股関節周囲の損傷・足関節の損傷
注意点:外転した状態で行わない事
施術例―1
@つま先を天井に向け、片方の膝を曲げ膝窩に手をいれる。
Aもう一方の足を少し浮かせ、足関節が60〜90度になるように踵を包み込むように持つ。
B踵を押すように屈曲させ進行方向は膝窩の手で調整する。
C伸展時は踵の手の力を徐々に抜いていく。
D回旋を加える場合は踵の向きで調整する。

施術例―2
@つま先を天井に向け、片方の膝を曲げる。
A曲げた足の膝の上に手を置き、もう一方の手は伸ばした足の膝の上に置き押さえる。
B胸に近づけるように深く曲げ、伸ばした足はベッドから離れないようにする。

*足関節
施術例
@膝を伸ばして仰向けになる。
A踵を引っ張りながら、前腕部分で足の付け根の膨らみ部分に圧力をかける。
B膝方向に曲げる。

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このページは、千里堂治療院第56回研修会資料をもとに構成しました。資料作成には以下の文献を参考にさせていただいています。ありがとうございました。

−参考文献−
*石井直方監修『筋肉のしくみ・はたらき辞典』西東社
*M.C.ハモンド他『YES, YOU CAN !(増補改訂版)』日本せきずい基金

−ホームページ−
*第101回看護師国家試験対策ノート
*永冶隆宏、白石洋介『拘縮の基礎』柔道整復師クラブ